更新 :2005/04/07 11:48
かねやん企画
本棚の片隅
まんが談義

雑誌についての考察(本編) 第8回へ


と、言うわけで、続編と言うか本編です
前回の談義で書ききれなかった雑誌を取り巻く環境について・・・・、今回は、その続編と言うことで、やっていこうと思います。
ここだけ読んでも話の連続性がありませんから、前回を読んでからにして下さいね。(^_^)
それではさっそくいってみよ〜〜〜〜
ほんとに"普"況の影響か?
最近では消費不況が叫ばれて久しくなっています。
私はつねづね今の情況は不況ではなく"普"況だと思っていますが、昔を知る人達にはそういう風には思えないのかも知れません。
"まんが"に限らず出版業界は全体的に販売数の減少に見舞われ販売数の増加を睨み、いろいろと手を尽くしています。
"まんが"に限った話で言うと、現在でも一部有力週間少年誌などは400万部以上を発行(販売実数は不明、通常発表される部数は印刷した数で実際に販売された部数ではない。返本率がどれくらいなのかは殆ど社外秘情報)するなど、通常の雑誌に比べれば、比べるのもバカらしくなるぐらいの販売部数を誇るものもありますが、全体的に見れば購入の元になるパイ(消費体力)の大きさは縮小している事は明らかで販売数は減少を続けています。
この様な情況を一般的には消費不況という一言でかたづけられる事が多くなっています。
なんでパイは小さくなってしまったのか?
確かに、一時期の大量消費至上主義時代で、一般大衆が何の根拠も無く将来について漠然と楽観的に見ていた頃には、受け皿となるパイは全体的に拡大を続けていました。その情況の中では、とりあえず何かサービス(実際に物を売るものもサービスと定義します)を始めればある程度の魅力が有るだけで支持してくれる人は最低限集まり、始めたサービスが存続する事が可能であった事は事実では有ります。しかし、それはあくまでも特殊な情況であり、その情況が過ぎ去った時に、消費者が無駄(利用価値が低い)と思えるサービスに対して料金を支払うのをためらう様になるのは当然の事です。
これが、第一点で、単純な話な為通常はこの話のみが、販売減少の理由としてまことしやかに囁かれます。しかしながら、現在の情況はこの部分の話のみでは片付けられない物が含まれています。
確かに上記の理由はある大きな流れの一面を捉えてはいますが、販売減少の本当の理由は、社会システムの充実によるサービスの多様化が、限りある個人の生活時間の奪い合いを起こし、その事ががパイを小さくしてという事です。
まあ、この話は、サービス提供のリサーチをする人には常識ですが、あまり大げさには語られない事が多いようです。
その昔、私が少年時代をすごした頃、世の中の娯楽は現在に比べればごく限られたものでした。
TVも地上波が中心で衛星放送やCVTVはなく、映像を記録するビデオデッキなども有りませんでした。ラジオもFMよりもAM放送の方が隆盛を誇っていましたし、TVゲームも無く、ましてや携帯電話など"まんが"の世界に登場するSFの世界の出来事でした。
そんな不成熟な社会においては、書籍による情報伝達は現在よりも社会において大きな役割を担っていた事は確実です。
この時代には"まんが"も有力な娯楽として経済拡大の波に乗り大きく成長してきたのです。
この時代に成長した現在の30代を中心とする世代はゲームや携帯でのコミュニケーションよりも"まんが"に対する思い入れが他の世代よりも強く、よって出版サイドもこの世代を狙った商品展開を強化する潮流が出始めています。
確かにマーケティング的には正しいのだろうが・・・
現在の若者の"まんが"に対する思い入れが相対的に下がった事により、一般的な"まんが"雑誌の販売戦略も大きく変化せざるを得なくなりました。
やはり"まんが"は若者文化ですから、その販売をを支えるのは若者が中心です。
その若者のなかで"まんが"に対する重要度が低くなりましたので、今までの様に単なる"読み捨て"的"まんが"では販売数を稼げなくなっている事が大きな要因に挙げられます。この情況を打破するべく少しでも"雑誌"や"単行本"の売上を確保するために、製作側はより確実に"まんが"を求める層にターゲットを絞り込みをしてきています。
いわゆる旧"まんが"世代と呼ばれる、30代を中心とした往年の"まんが"隆盛期を支えた読者を引き戻そうという動きです。
その方法論として取られているのが往年の名作(?)のリバイバル的続編や関係作品の復活です。
この動きは、いわゆる青年誌といわれる分野の雑誌に顕著に表れており、最近新創刊された「コミックバンチ」を初め、「スーパージャンプ」や「モーニング」などにもこの動きは見られます。
この他、ヤング系雑誌などでも「続・○×○×」や「新・○×○×」などという作品も多数あり、これらもある程度その潮流にそったものではあります。
マーケティングの論理から言ってこれらの行動は正しく、より確実に売れる可能性のある分野に力を注ぎ売上を伸ばす様にする事は正しいとは思いますが、一旦作品としての役目を終えた物語を再度復活させても、積極的にそれを読みたいと思う人がどれだけいるのかがあまり明確では有りません。
というのも、往年の作品が売れたのは、その時代のその年代だった人達が求める作品を作っていたからであり、それらの作品を現代に甦らせたとしても、それらのテーマやターゲットとなる年代を、現在の30代のが求めるテーマや年代にあわせて作品を作ることには限界があると思われるからです。
確かに昔に比べれば現代の30代世代は良く言えば気が若く、悪く言えば幼稚さが残る世代でもありますから、旧作のテーマでも良い様にも思えますが、読者はそれほど甘くないと思うのは私だけでしょうか?
読者を甘くみているわけではないんでしょうが・・・
で、少々辛口の話ばかり書いてきましたが、出版サイドが上記の事に考えが至らないまま現在に至っているとはとても思えません。
我々読者よりも彼らのほうが生活に直結する分、"まんが"をとりまく情況には敏感になっているはずですから・・・(考えてないとしたら悲しいな・・・)
ですが、若者への求心力がどんどん低下している現状で"まんが"の販売に繋がるテコ入れ策として取れる方法もそれほど無いことも事実です。
一般に"まんが"を読む人達は"まんが"に対してそれほど思い入れがある人は少なく、単なる時間つぶしの用途として利用しています。ごく一部の人は"まんが"に色々な可能性を見出しそのメディアの魅力に取り付かれていますが(これを読んでいるのはそんな人達でしょ?(^o^))、これらの人達はごく限られた一部の人でしかありません。
この様な人達の割合は、年代を問わずある一定量の人が存在しますが、"まんが"読者全体から見た場合、少数であることは疑い様がありません。また、その人達は"まんが"に対する思い入れが強い分、一般的な"読み捨て"作品には満足できない事が多いとも思われます。
この様な人達を満足させる作品を造れば、最低限の読者を確保する事は出来ますが、求める作品の質とテーマが細分化してしまうため、商売としての"まんが"販売として見た場合には、元のパイがあまりに小さいため、率の良い商売には結びつきません。
よって、時間つぶし的読み方が可能な作品(作品としてあまり凝った物や専門的な物ではない物)で大きなパイを目指す事になる訳ですが、このパイを奪い合うサービスが、同業の"まんが"だけではなく全く異なったサービスになってきている点が問題を深刻化しています。
よって、その他のサービスよりも"まんが"に対する比重が少しでも高い読者層を狙うために"まんが"作品の開発を試みることになる訳ですが、その場合、通常の様に新作を作っても"まんが"雑誌自体を読まなくなっている読者を引き戻すのは困難では有ります。
よって、昔のネームバリューを利用して作品の宣伝効果を高める方法を取る以外方法が無いことになります。
ただ、この方法論は、常に危険を孕んでいます。
読者呼び込みに手を抜いた分、読者が離れるのも簡単です。なにせ、何かのメッセージを求めて作品作りをしているわけではなく、商売としての作品開発をしているのですから、それらの内容が自分の求める物で無い事がはっきりした時点で購買意欲はすぐに醒めてしまいます。
また、旧ビッグネームが雑誌を占有する分、それら以外の新作や新人の登場する機会が奪われることにもなります。
"まんが"は作品(文化)であると同時に商品ですから、商売的に成立しない物が存続できないのは当然ではあるのですが、販売数の為に作品(文化)性を犠牲にして行く事も問題になってくると思われます。
まあ、大手は販売量を確保して普遍的な作品をつくり、中小が作品性を重視して特徴的な作品を供給している現在の情況の中では、この形式がより先鋭化していくのが自然な流れなのかも知れません。
やっぱり話が終わらなかったぞ(;_;)
ごめんなさい、やっぱり話は終わりませんでした。雑誌の話に終始し、新古書店やインターネットの話にまで進めませんでしたので、そこは次回という事で・・・
ああ・・・、露骨な引張り作戦のようだな・・・。
でも、めげずに、次回をお楽しみに〜〜〜〜〜〜〜。(^_^)/~~


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